書類に残るもの、残りにくいもの
不動産の仕事では、土地の面積や名義を資料で確かめられる。けれども、その家で家族がどう暮らしたか、近所の人が昔その場所を何と呼んだかは、書類を見ても分からない。介護の仕事では、懐かしい地名や写真をきっかけに、昔の磐田の話が聞けることがある。大石は「磐田物語」の巻頭文で、この二つの現場を並べて語っている。
この「磐田物語」は、その小さな試みの場である。
地域史を読む入口は、難しい言葉である必要はない。知っている学校の名前、見付で見かけた建物、かつて線路が通っていた場所。そこから元の資料に行き着けるよう、磐田物語は地区とテーマの両方から記事を探せるつくりになっている。
磐南から読み始める三つの記事
母校の人を紹介すること、学ぶ場所をつくること
この「ATAWI磐田南高校」は大石個人が編集する母校の人物案内。卒業生が自分の仕事を語った一節や、作品の発表元が記した紹介文を選び、すぐ下に原典を置いている。読者が建築家の仕事を見に行ったり、研究者の論文に手を伸ばしたりできる形だ。
学びの企画では、中学数学を図から考える「ATAWI数学」や、英文の文脈から単語の意味を推測する「INFAER」も制作している。著書『この街、まだ詰んでない。』では、仕事と地域で得た経験をどう形にするかを取り上げた。公式サイトで挿絵入りの要約版を読める。